費用は「一度」ではなく「段階ごと」に発生する

商標権の取得のためのは費用は、大きく分けて4つの段階で発生します。出願前の調査、出願時、審査で拒絶理由通知を受けた場合の対応、そして登録時です。

さらに費用には、弁理士事務所に支払う報酬と、特許庁に納付する出願料・登録料などの公的費用があります。ただし、すべての段階で両方の費用が発生するわけではありません。この二つを分けて確認すると、見積もりの内訳や、今後必要になる費用を把握しやすくなります。

出願前:商標調査の費用

まず出願前に、先行する出願・登録商標との類否や、出願する商標に識別力があるかを確認する商標調査を行うのが一般的です。調査を行わずに出願すると、登録が難しい理由を事前に把握できないまま手続を進めることになります。その結果、拒絶理由通知を受け、意見書や手続補正書の提出などに追加の弁理士費用がかかることがあります。

また、先行する登録商標を確認せずにその商標の使用を始めると、他人の商標権を侵害し、名称の変更や商品の回収、損害賠償などを求められるおそれもあります。商標調査は、登録の可能性だけでなく、その商標を事業で安全に使用できるかを検討するためにも重要です。

「商標の余白」では、指定商品・役務の検討、識別力の確認、外観・称呼・観念の3軸での先行出願・登録商標の調査、判断メモ(出願方針・代替案・反論余地)を含む商標調査レポートを提供しています。この段階では、特許庁へ納付する費用は発生しませんが、調査・検討という弁理士側の費用が発生します。

出願時:弁理士費用と特許庁出願料

出願時には、願書作成・提出という弁理士側の手続費用と、特許庁へ納付する出願印紙代の2つが発生します。

特許庁の出願印紙代は、指定する区分の数に応じて増えます。1区分の場合は12,000円、2区分目以降は1区分につき8,600円が加算されます。これは全国一律の特許庁費用であり、どの事務所に依頼しても金額は変わりません。何を、いくつの区分で指定するかによって総額が変わるため、区分の考え方はこちらで整理しています。

拒絶理由通知を受けた場合の追加費用

出願後、審査官が商標登録できないと判断した場合には、その理由を示した拒絶理由通知書が届きます。この場合、拒絶理由の検討や意見書・補正書の作成・提出という追加の対応が必要になり、別途費用が発生します。

この追加費用が生じる確率は、出願前にどこまで適切な調査と検討を行ったかによって変わります。先行する出願・登録商標との類否や、商標の識別力を十分に確認し、必要に応じて名称や指定商品・役務を見直しておけば、リスクを低減できます。

その意味で、調査費用は、登録可能性と使用上のリスクを事前に確認し、将来の審査対応費用や名称変更の負担を抑えるための投資と捉えることができます。

登録時:弁理士費用と特許庁登録料

審査を通過して登録査定を受け、登録料を納付して初めて商標権が発生します。ここでも、成功報酬・納付書類の作成提出という弁理士側の費用と、特許庁への登録料の2つが必要です。

特許庁の登録料は、10年分を一括で納める方法と、5年ごとに前期・後期で分けて納める方法があります。一括の方が総額は抑えられますが、事業の立ち上がりが不確実な段階では、分納を選ぶ考え方もあります。具体的な金額は料金ページに掲載しています。

モデルケース:1区分・拒絶理由通知なしで進めた場合

具体的なイメージをつかむために、1区分について調査から出願、10年分の登録料納付まで、拒絶理由通知を受けずに進んだ場合の金額を示します。

段階 内容 金額(税込)
出願前 商標調査レポート 55,000円
出願時 商標登録出願手続(弁理士費用) 33,000円
出願時 特許庁出願印紙代 12,000円
登録時 登録料納付手続(弁理士費用) 60,000円
登録時 特許庁登録料(10年一括) 32,900円
合計 192,900円

これは、1区分について商標調査と出願を行い、拒絶理由通知を受けることなく登録査定となり、10年分の登録料納付を行った場合のモデルケースです。区分数が増えれば特許庁費用が増え、拒絶理由通知を受ければ審査対応費用が追加されます。「商標登録には一律192,900円かかる」という意味ではなく、順調に進んだ場合の基本モデルとして参考にしてください。

実際の費用は、区分数や手続の経過によって変わります。各サービスに含まれる作業と、特許庁へ納付する実費は料金ページでご確認ください。

まとめ

商標登録の費用は、調査・出願・審査対応・登録という段階ごとに、弁理士費用と特許庁実費がそれぞれ発生します。金額だけを見るのではなく、その金額に何が含まれ、何が含まれないのかをセットで確認することが、後から「思っていたのと違う」という状況を避ける一番の方法です。

区分数が分からない段階でも、事業内容から必要な範囲を整理できます。費用の見通しを立てたい方は、無料相談からお気軽にご相談ください。

執筆・文責

弁理士 中村幸雄

サービス名、商品名、屋号、ロゴ、AIエージェント名など、名前とブランドに関する商標相談を扱う弁理士。 「商標の余白」では、名前を使い始める前に、商標面の不安や登録可能性、先行商標との距離感を整理するための情報を発信しています。