この記事の結論

類似群コードは、商品・サービスの類似関係を推定し、先行商標を探すための記号です。名前を使う商品・サービスを具体化してコードを調べ、候補名の表記や読み方と組み合わせて検索します。

同じコードの商標が見つかっても、それだけで登録できないと決まるわけではありません。商標自体の類似、指定商品・役務、出願・登録の状況を確認し、調べる範囲と出願する範囲を分けて検討します。

類似群コードとは?「区分」「指定商品・役務」との違い

類似群コードは、日本の商標審査で、商品・サービスの類似関係を推定するための記号です。同じコードが付いた商品・サービスは、原則として互いに類似すると推定されます。

「区分」「指定商品・指定役務」「類似群コード」には、次の違いがあります。

用語 示しているもの
区分 商品・サービスを分ける45の分類。「第30類」「第43類」など
指定商品・指定役務 出願・登録の対象とする具体的な商品・サービス。「クッキー」「飲食物の提供」など
類似群コード 商品・サービスの類似関係を推定するための記号。「30A01」「42B01」など

「役務」は、サービスを意味する商標制度上の言葉です。出願では、商標を使う商品・サービスを具体的に指定し、それに対応する区分を記載します。

何に名前を使うかを具体化し、その商品・サービスに対応するコードを調べる。 この順序が、調査の出発点になります。

「調べる範囲」と「出願する範囲」を分けて考える

名前を使う対象を考えるときは、同じ名前で今後提供する予定の商品・サービスも確認します。その予定が具体的なら、その商品・サービスに対応する類似群コードでも先行商標を調べます。

例えば、カフェを開業し、半年後には同じ名前でオリジナルのクッキーを発売する計画があるとしましょう。この場合、店名を決める段階で、飲食サービスの類似群コード「42B01」と、クッキーの類似群コード「30A01」の両方で先行商標を調べます。

クッキーの分野で気になる先行商標が見つかれば、店名と商品名を共通にする方針、商品に別の名前を付ける方針などを、開業前に比較できます。

一方、両方のコードで調べたからといって、今回の出願で必ず両方の分野を指定するとは限りません。飲食サービスとクッキーのどちらを出願に含めるかは、使用状況、事業化の具体性、開始時期、費用を踏まえて決めます。

ただし、出願後に、当初の指定商品・役務の範囲を超える対象を追加する場合は、追加する商品・役務について新たな出願が必要となります。そのため、クッキーの販売など具体的な展開予定がある場合は、当初の出願に含めるかを検討しておくことが重要です。

調査では、名前を使う予定の商品・サービスに関係する類似群コードで先行商標を探します。出願では、その結果も踏まえ、今回保護する商品・役務を具体的に指定します。

参考:特許庁「商標審査基準 第十六 要旨の変更」(PDF)

自分の事業に合う類似群コードは、どう調べる?

このカフェとクッキーの例で、類似群コードの調べ方を見ていきましょう。

一つのブランドでも、名前を使う対象は「飲食サービス」と「クッキーという商品」に分かれます。

名前を使う対象 商品・役務名の例 区分 類似群コード
カフェのサービス 喫茶店における飲食物の提供 第43類 42B01
オリジナルの商品 クッキー 第30類 30A01

区分とコードは、特許庁の商品・サービス国際分類表で確認できます。

自分で調べるときは、J-PlatPatの「商標」メニューから「商品・役務名検索」を開きます。出願時期に対応する国際分類版を確認したうえで、商品・サービスを表す言葉を入力し、検索結果に表示される名称、区分、類似群コードを確認します。

前の例なら、「喫茶店」「クッキー」などの言葉から検索を始めます。検索結果の商品・役務名を読み、自社が提供するものに合う表示を選びましょう。

ここで大切なのは、「カフェを経営する」という業種の説明を、名前を使う商品・サービスに分けることです。商品販売、教室の開催なども予定している場合は、それぞれを調査対象として検討します。

参考:特許庁「商品・サービス国際分類表〔第13-2026版〕第30類」(PDF)特許庁「商品・サービス国際分類表〔第13-2026版〕第43類」(PDF)INPIT熊本県知財総合支援窓口「商品・役務名検索」

類似群コードを使って、商標を検索する手順

コードが分かったら、次はJ-PlatPatの「商標検索」で、候補名と組み合わせます。まずは、読み方が似ている商標を探す方法から始めましょう。

手順 操作する内容
1.検索対象を選ぶ 「商標検索」を開き、検索対象種別を「出願・登録情報」にする
2.読み方を入力する 「商標(マーク)」の検索項目で「称呼(類似検索)」を選び、候補名の読み方を全角カタカナで入力する
3.類似群コードを入力する 「商品・役務」の検索項目で「類似群コード」を選び、調べたコードを入力して検索する
4.詳細を見る 気になる商標の出願番号・登録番号などを選び、商標や指定商品・役務を確認する

この方法で、読み方と商品・サービスの分野を組み合わせた検索ができます。

カフェとクッキーの例なら、候補名の読み方に「42B01」を組み合わせた検索と、「30A01」を組み合わせた検索を、それぞれ行います。コードごとに検索すると、どの事業に関係する商標が見つかったかを追いやすくなります。

さらに、文字表記は「商標(検索用)」、同じ読み方は「称呼(単純文字列検索)」でも確認します。これらを別々に試し、複数の角度から候補名を調べます。

同じ類似群コードの商標が見つかったら、何を見る?

検索結果から先行商標を見つけたら、次の三点を確認します。

確認すること 見るポイント
商標自体の類似 見た目、読み方、意味を総合的に比べる
商品・サービスの関係 相手の指定商品・役務と、自社が名前を使う対象を照らし合わせる
出願・登録の状況 出願日、審査の経過、登録や権利の存続状況を確認する

商標の類似は、外観・称呼・観念を総合的に検討します。また、J-PlatPatへの情報反映には時間差があるため、重要な判断では最新の手続状況も確認します。

この例の候補名を「ミノリカ」とします。「称呼(類似検索)」に「ミノリカ」、類似群コードに「30A01」を入力したところ、次の商標が見つかったと仮定します。

※以下は読み方を説明するための架空の例です。実際の検索結果や、特定の商標の登録状況を示すものではありません。

確認項目見つかった商標の情報(仮定)
商標の表示MINORICA
称呼(参考情報)ミノリカ
区分第30類
指定商品・類似群コード菓子・30A01
出願・登録の状況自社の出願予定より前に出願され、登録済み。検索時点の表示では権利が存続している

まず、名前を比べます。 候補名の「ミノリカ」と、見つかった商標「MINORICA」は、表記が異なっても読み方は同じです。そのため、両者が類似すると判断される可能性があり、見た目や意味も含めて詳しく比較する必要があります。

次に、商品を比べます。 相手の指定商品は「菓子」で、自社が販売するクッキーとの重なりがあります。コードの一致に加えて、指定商品の記載からも、自社の商品との関係を確認できます。

最後に、手続状況を確認します。 出願日や登録の経過、権利の存続状況を詳細画面で確認します。

この例では、候補名と読み方が同じで、指定商品もクッキーと重なる商標が、先に出願・登録されています。 そのため、クッキーの商品名として「ミノリカ」を採用する前に、この商標との類似性や権利の状況を詳しく確認する必要があります。判断に迷う場合は、検索結果をもとに専門家に相談します。

ただし、ここで調べたのはクッキーの分野です。同じ名前をカフェにも使う計画なので、飲食サービスの類似群コード「42B01」でも調べます。

類似群コードが違っていても、審査では商品・サービスが互いに類似すると扱われる場合があります。その組み合わせは、特許庁の審査基準の備考や「備考類似商品・役務一覧表」で確認できます。そこに自社の商品・サービスと類似するとされている商品・サービスが載っていれば、その商品・サービスの類似群コードでも検索します。

類似群コードは、このように先行商標を探すための手がかりとして使います。 一方、登録可能性を考えるには、先行商標との関係だけでなく、候補名そのものが自社の商品・サービスを識別する名前として機能するかも検討する必要があります。

類似群コードについて、よくある質問

一つの商品・役務に、複数のコードが付いている場合は?

付されている各コードを検索対象として確認します。複数コードが付いた商品・役務の類似関係には、審査基準の備考で特別な扱いが示される場合もあるため、備考と合わせて読みます。

参考:特許庁「日本における『類似群コード』について」

同じコードの商品は、出願でどこまで指定したことになりますか?

指定する範囲は、願書に記載した商品・役務名の意味に基づきます。複数の商品を含む包括的な表示もあるため、使う対象がその表示に含まれるかを確認します。商品・役務名が示す範囲と、類似群コードが示す関係を分けて考えることが大切です。

類似群コードは、出願書類に記載しますか?

類似群コードを願書に記載する必要はありません。願書には、区分と具体的な商品・役務名を記載します。例えば、第30類「クッキー」という形です。類似群コードは調査メモに残しておくと、その後の検索や審査基準の確認に役立ちます。

出願するとき、商品・サービスを幅広く指定してもよいですか?

一つの区分で23以上の類似群にわたって商品・役務を指定する場合は、原則として、商標の使用・使用意思を確認する審査の対象になります。小売等役務には別の確認基準もあり、指定範囲は実際の事業と使用予定に沿って決めます。

参考:特許庁「商品・役務を指定する際の御注意」

調べた内容を、次の判断につなげる

検索した内容は、次の形で残しておくと、追加調査や相談に使いやすくなります。

候補名・読み方:
名前を使う商品・サービス:
具体的に予定している事業展開:
調べた商品・役務名・区分・類似群コード:
検索条件・検索日:
気になる商標の出願番号・登録番号:

類似群コードを調べることは、名前を使う事業の範囲を具体化する作業でもあります。現在の商品・サービスと、これからの展開を並べることで、その名前について確認すべき点が見えてきます。

参考資料

  1. 特許庁「商標を検索してみましょう」(2026年9月6日閲覧)
  2. INPIT「商標の『類似群コード』とはなんですか。」(2026年9月6日閲覧)
  3. 特許庁「商品・サービス国際分類表〔第13-2026版〕第30類」(PDF)(2026年9月6日閲覧)
  4. 特許庁「商品・サービス国際分類表〔第13-2026版〕第43類」(PDF)(2026年9月6日閲覧)
  5. INPIT熊本県知財総合支援窓口「商品・役務名検索」(2026年9月6日閲覧)
  6. INPIT熊本県知財総合支援窓口「商標 称呼検索」(2026年9月6日閲覧)
  7. INPIT「J-PlatPat講習会でのご質問と回答」(2026年9月6日閲覧)
  8. 特許庁「類似商品・役務審査基準〔国際分類第13-2026版対応〕」(2026年9月6日閲覧)
  9. 特許庁「日本における『類似群コード』について」(2026年9月6日閲覧)
  10. 特許庁「商品・役務を指定する際の御注意」(2026年9月6日閲覧)
  11. 特許庁「商標審査基準 第十六 要旨の変更」(PDF)(2026年9月6日閲覧)

執筆・文責

弁理士 中村幸雄

サービス名、商品名、屋号、ロゴ、AIエージェント名など、名前とブランドに関する商標相談を扱う弁理士。 「商標の余白」では、名前を使い始める前に、使用リスクや登録の見通しを確かめるための情報を発信しています。