新しいサービスの名前を考えるとき、多くの時間は「どんな名前がいいか」に使われます。語感、覚えやすさ、ブランドイメージ。候補名を並べて、声に出してみて、社内で意見を聞いて、そうして絞り込んだ名前は、使い始める前にもう一つの確認が必要です。商標の視点から見て、その名前が使えるかどうかです。
商標上の問題は、使い始めてから見つかることが多い
名前を決めた後、Webサイトを公開して、名刺を刷って、SNSのアカウントをつくる。そのタイミングで初めて、似た商標が登録されていることに気づくケースがあります。あるいは、出願してから数ヶ月後に特許庁から拒絶理由通知が届いて、初めて問題を知る場合もあります。どちらも、名前を変えるコストが一番高いタイミングです。
確認は、名前が固まる前に動くほど有効です。候補が2〜3案ある段階で調査すると、「A案は先行商標との類似度が高いが、B案なら可能性が上がる」という比較ができます。候補を選ぶ材料として調査結果を使えるのは、この段階だけです。
確認すべき3つのポイント
1. 先行商標との類似
同じ読み方、似た見た目、同じような意味を持つ商標がすでに登録されていないかを確認します。類否の判断は単純な文字列の一致ではなく、称呼(読み方)・外観・観念(意味)の3軸で評価されます。「漢字が違うから大丈夫」「一文字足したから別物」という判断は、商標の世界では通用しないことがあります。
2. 識別力の有無
商標登録が認められるには、その名前が「自社のサービスと他社のサービスを区別できる力」、識別力を持っている必要があります。サービスの内容をそのまま説明した言葉(例:「品質管理サービス」「簡単予約」など)は、識別力がないと判断されやすく、登録が困難になります。思い入れのある名前が、実は一般名称に近いという状況は珍しくありません。
3. 指定商品・役務との一致
商標の保護は、出願時に指定した「商品・サービスの区分」の範囲に限られます。どの区分で出願するかによって、保護の範囲が変わります。自分が展開する事業の実態に合った区分で出願しないと、似た名前を別の事業者に使われても対抗できない、という状況が生まれます。
名前を変えるコストが最も低い段階で確認する
商標の調査と整理は、名前が決まった後にやるものではありません。名前を決める判断材料の一つとして機能します。「この名前は使えるか」だけでなく、「この名前で進むとしたら何に注意すべきか」「候補を変えるならどの方向が有効か」まで整理できると、決定後に後悔しにくくなります。
相談を考えているなら、候補名が揺れている段階が最もよいタイミングです。